母がおそらく50代のころ、歯医者に行ってかなり辛い治療をされたらしい。
虫歯の治療に、かなり長い時間クチを開けたままで診察台に寝かされて、治療が終わって起き上がったときには、歯科衛生士さんに「がんばったね〜!!」と褒めてもらいながら、顎や頬のマッサージまでしてもらったという話を聞いたことがある。
それから数日の間は、その治療中に口の端っこに引っ掛けてあった唾液を吸い取る器具の跡が、カブれて切れてしまうほどで、そんな過酷な治療は今じゃ考えられないと思うのだが、今から30年くらいも前の片田舎の歯医者さんでは、そんなことがあったらしい。
そんな経験をしたせいで「もう虫歯は2度と御免!」と心に決めたかどうかは知らないが、今は虫歯も歯周病も口臭もなく過ごしている。
もう歯医者はこりごりだよ…
もちろん、毎食後の歯磨きは欠かさない。
歯ブラシには拘っていて、毛先の細いのやら、毛がいっぱい付いているのやら、ヘッドの薄いのやら、赤ちゃん用の小さいのやら、歯間ブラシに糸ようじ、と色々と買っては使って試している様子。
歯磨き粉も、取っ替え引っ替えしながら、いくつか使っている。
医薬部外品の歯槽膿漏ケアとか、高濃度フッ素配合とか、パックス石けんハミガキとか、色艶を気にしていたときは研磨剤の入った粉の歯磨き粉を使っていたこともある。
研磨剤の入った粉の歯磨き粉は、当時は「しこう」(漢字とか、アルファベットとか、表記は忘れた)という名前の、赤いキャップの小さな丸いケースで売られていたけど、今ではもうなくなってしまったらしく、代わりに他のホワイトニング効果のある歯磨き粉を使っているようだ。
そして、歯を磨く時間はかなり長い。
特に夜は、リビングに座ってテレビを見ながらいつまでも磨いている。
磨き終わると、にぃ〜〜と開いた口の中を手鏡で映しては磨き残しがないか確認しつつ、「根元が擦り切れちゃうんだよね…」なんて言っている。
歯の根元がすり減って、たまに冷たいものがしみるの…
そりゃあそれだけ磨いたら、歯じゃなくたって擦り切れるさ。
鏡を見るのはいつも磨き終わってからで、歯磨き中はテレビを見ているか、ぼんやりしながらひたすら磨いている。
鏡見ないでよく磨けるな〜、と私は思うのだけど、虫歯ゼロという実績を考えると、きっと磨けているんだと思う。
洗面所で磨いてくれないかな〜
たまに私が実家に行ったときにも、私がそこにいようとも、やっぱりリビングで磨いている。
近くにいる私としては、なんだか汚い気がして洗面所で磨いてほしいのだけど、なかなかそうも言えずに数十年が経った。
何も気にせずひたすら磨き続けたおかげなのかどうか、母は80才を過ぎた今でも入れ歯も使わず、もちろん歯が抜けたまま放って置いていることもなく、歯科検診では歯医者さんに褒められる優秀な歯で過ごしている。
実家の近くに住む姉が、毎日夕飯を作って持って行っているけれど、「硬いものがダメ」とか「入れ歯が合わなくて困る」とか、そういう事情がないのはすごく助かる、としみじみ言っていた。
ボケが進んでも、歯磨き習慣は忘れないでいてくれるといいな、と思う。
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